論叢 保健婦活動の前進のために
行き届いた指導者としての眼と足をもて—保健所長から
松浦 利次
1
1田無保健所
pp.691-692
発行日 1964年12月15日
Published Date 1964/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202946
- 有料閲覧
- 文献概要
日本の訪問看護事業(保健婦事業)は,4半世紀の歴史ももたないうちに,はや転換期を迎えようとしている。それは,わが国の公衆衛生,とくに保健所のあり方が,いまのままではいけないという考え方とも結びあっている。これから5年さき,10年さき,さらに20年さきの公衆衛生活動のあるべき姿と,その中にはたらく医師や保健婦の姿を想像してみるとき,じっとしていられない焦燥感にかられるのは,私一人ではないであろう。
いまや,人間の健康に関する学問は進歩し疾病に対する医薬学の貢献は著しい。ために人の寿命は伸び,生の喜びをより多く享受させようというレジャーや消費の途はひらけていく。けれども,われわれの住む環境はつぎつぎと汚される。金になることは何でもやる--しかし人間の健康への考慮はあとまわしである。その実例はいやというほど私たちのまえに転がっていて,どうしようもない。
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.