談話室
岡目八目・酒と煙草と女と
竹内 繁喜
1
1東京都立築地産院
pp.470-471
発行日 1964年9月15日
Published Date 1964/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202872
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■酒
職務柄1〜2回ではあったが都知事主催のパーティに出かけたことがある。知事は,ビールはどうかしらないが日本酒を飲まない。ウイスキーである。若い先生方によくサービスして酒をついでまわっていたが,自分ではウイスキーグラスを持ってまわって「私はこの方だから」と日本酒の返盃はことわっておられた。真意はしらない。元気に活躍している知事のことだから病気のせいではないだろう。数多い返盃をことわる逃げ口上かもしれないが,やはり,洋酒にくらべると日本酒はどうも身体によくないと考えておると察するのがいちばん妥当だろう。
2〜3日前,外来に中絶希望の患者がきた。「ズッと受胎調節をやっていましたが,一度だけ主人が酔っぱらって帰り,つい予防をしませんでした。どうもその時に妊娠したようです。書物を読むと,酒を飲んで関係し,妊娠した子供は頭がわるいと書いてありますね。私どもは育児に熱心なので,頭のわるい子供ができては困るのです」というのが理由である。ちかごろ,教育ママとか育児ノイローゼとかいう言葉がはやっているが,育児に対する関心も,ついにここまできたかという感じがする。そのうち紋付,袴で子供をつくる時代がくるかもしれない。
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