綜説
空気イオンの諸問題
安倍 三史
1
,
原 寿太郎
1
1北大医学部公衆術生学教室
pp.297-306
発行日 1964年6月15日
Published Date 1964/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202828
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はじめに
空気イオンの生物学的研究は,1930年頃からドイツ,フランス,ソ連,チェッコスロバキア,アメリカ,日本で展開された。日本では1932年から北大木村助教授(後京城大学教授),慶大原島助教授(現慶大教授),九大入江教授,日大,慈恵大の研究が報告された。
空気イオンの一般については木村ら,気象と空気イオンについては石館ら,換気と空気イオンについては安倍ら,空気イオンの生体反応については北大(木村,石館,安倍ら)と慶大(原島,上田,湯浅ら)の報告がソ連やアメリカの研究に引用された。第二次大戦が世界の空気イオン研究を中断させたが,終戦と共に研究が復興し,1961年10月はアメリカで,第1回国際空気イオン学会が開かれ,世界諸国から集った物理,生物,医学,心理学者の報告は物理学的特徴と生物学的効果の究明に大きく寄与した。これを機会に,世界のあちこちで空気イオン研究がはじめられ,治療医学分野はもちろん,公衆衛生学,特に術生工学の領域で大きく取り上げられた。
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