原著
精神障害者のリハビリティション—公衆衛生の立場から—第1報職業更生序説
中島 元一
1
1岐阜県精神衛生相談所
pp.501-504
発行日 1963年9月15日
Published Date 1963/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202714
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医学はいわゆるRehabilitationの問題を新しい領域として登場させた。それは,精神科領域でも同様である。
Rehabilitationの意味するところは,人間を生物―心理―社会的な統一体として,全体的にみて,その機能の復興を計ることにあるといわれている25)。これを個人の生活空間ということから考えれば,rehabilitativeな諸努力とは,せばめられた生活空間を拡げる努力である。そして生活空間は,身体的,精神的,職業的,家庭的等々といった領域における個人の適応の機能として画かれる26)。その意味からいって,治療の実際にあたっては,Rehabilitationサービスの方向の焦点が身体的復元,人格的復元,職業的更生等々のいずれかに向けられる。しかしそれは方法論的にRehabilitationを考える場合の身体的要素,精神的要素,環境(社会)的要素といった三つの和互関係を明確にとらえたうえでのことでなければならない。
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