講座 臨床から公衆衛生へ—感染症シリーズ・6
蟯虫症
小島 莊明
1
1千葉大学医学部寄生虫学教室
pp.190-192
発行日 1985年3月15日
Published Date 1985/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207015
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■はじめに
回虫や鉤虫など,いわゆる土壌媒介寄生虫症の全国的蔓延状況がみられなくなってすでに久しいが,人畜共通症や輸入寄生虫病,あるいは免疫抑制剤・抗癌剤投与により誘発される日和見感染としての寄生虫病など,新しいタイプの寄生虫疾患が最近とくに問題となっている.しかし,考えてみるとそのなかで蟯虫症だけは,医学界のはやりすたりに関係なく存在し続けていることに改めて気づかされる.これは,主として蟯虫の感染様式や生態によるところが大きいと思われるけれども,医師や教師,そして親たちの無関心こそが問題であるようにも思われる.
そこで本稿では,蟯虫症の疫学的現状について述べるとともに,蟯虫の生態,感染様式,病害などにも触れて予防対策の参考に供したい.
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