特集 精神衛生(Ⅱ)
精神衛生行政の機構とその周辺
広瀬 克己
1
1都庁衛生局医務部優生課
pp.657-664
発行日 1959年11月15日
Published Date 1959/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202202
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I.序
精神衛生行政はまだごく若い行政の1つである。精神病者監護法と精神病院法は半世紀の長い歴史を終えて昭和25年精神衛生法に発展的解消をとげたのであるが,新しい精神衛生行政はここから始まつたといつても過言ではないだろう。
かくて精神衛生行政は,この10年間に国都道府県の行政のなかで一応の機構を確立したことは周知の如くである。この行政機構が10年の過程で,精神医学の進歩に即応しつつ発展してきたとはいえないが,幸い法の性格に重大な変化をみないで今日に至つたことは慶すべきであろう。しかしながらいよいよ重大化してきた人口や財政事情,行政伝統などから復古主義の片鱗が漸くちらつき始めた現実も見逃し難い。病院の救護施設化,入院手続きの司法権介入の動向などには,にわかには賛同しがたい本質的問題のあることに留意しなくてはならない。
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