「医学生に対する衛生学公衆衛生学の教育」についてのアンケート
北博正教授の「環境衛生」(1)について
須川 豊
1
,
勝沼 晴雄
2
,
猿田 南海雄
3
1静岡県衛生部
2東大公衆衛生学教室
3九大医学部衛生学教室
pp.622-624
発行日 1959年10月15日
Published Date 1959/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202197
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近頃は講義をやつていないし,資料を集めて整理することもできないので,大学でどんな教育が行われているか知らない。公衆衛生学会で,講義内容が検討されはじめた頃からみれば,相当変つたことと思う。北教授のやつておられる内容の記述を拝見して,大変感銘した。全体の考え方として,臨床医をめざす学生に対して,興味をもたすことを前提として,臨床と関連させる努力を払われている点は誠に結構である。ただ細い内容が分らないし,北教授はこんなことはないと思うがあまり脱線しすぎると,学科としての系統が不明確になつて,それでなくとも雑学(?)と思われている公衆衛生学が,寄席のようになる恐れがある。最近の学生の気分は理解できないが,多少堅くとも学生をひきつける理想的情熱型のやり方もあろうと思う。「病気は治療するよりも予防」の高まいな理念,前進しつつある社会保障,その基礎をなす医療保障,経済との関連等これらのすべてに対して環境衛生が基礎である所以,それは都市計画であり,先代国民の誤れる認識,それが現代社会の悩みとむじゆんの原因であり,これを解決する方向は,指導者の考え方であり,その考えを推進する者は医学を学ぶ人々であることを,大い話す必要があると思う。赤痢,小児麻痺,結核,寄生虫,性病等すべての社会的疾病が環境衛生的基礎との関連から説かれることによつて,環境衛生,公衆衛生学が医学生の勉強の場において,そのあるべき地位を確保されると思う。
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