文献
大学における職業衛生,他
西川
pp.386,402
発行日 1959年6月15日
Published Date 1959/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202151
- 有料閲覧
- 文献概要
医科学生に対する衛生学,公衆衛生学の教育はいかにあるべきかということが,現在この「公衆衛生」誌上に連載されている。職業衛生を除外するわけにはいかないと思うのは筆者のみではないと思うが,職業衛生の展示場ともいうべきものが提示された。それは綜合大学であつて,筆者はミネソタ大学における職業性疾患の発生状況を公けにした。大きな大学構内には殆んど一般事業場と同様の規模に匹敵するほどの工場をもつているし,また作業の内容も大学ほど多岐にわたるところはないからである。造兵部門での鉛中毒,微粒子測定にたずさわる研究者のベンゾールばく露,印刷工場における鉛と有機溶剤による障害,営繕課には熔鉱炉の排ガスがあり,地下の車庫には一酸化炭素がある。ジエツト・エンジンやジエツト用燃料の研究部では強大な騒音を発している。実験室によつては水銀を多量に使い,四塩化炭素の誤用をしたり,駆虫用の有機燐剤を使つたりしている。軒なみに研究室をたずねると,火傷や災害の予防,環境衛生,放射線による障害予防,建築物の安全管理が必要なことが見出されている。わが国の大学がミネソタ大学より保健管理に留意しているとは思えない。
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.