文献
地区保健センターとしての病院
西川
pp.109
発行日 1959年1月15日
Published Date 1959/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202089
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「昔は病院といえばベツトに横たわつた人間の周りに家族,親類縁者,喜びや悲しみ,希望や恐怖が取りまいている図を想像したものであつた。」しかし新しい治療法が医薬,治療技術面で発達し,予防・保健事業が公衆に浸みわたつたために,様相は20年前と全く変つてしまつた。米国の人口は急激に増加しているが,病院の数はそれにも増して殖えつつある。1946年には人口1,000に対して112の病院があつたが1956年には132になつている。
また病院自体も変つて来た。以前には病院の経済的支柱は別にあつたけれども,現在では患者の支払う医療費と保険団体の支持とになつている。したがつて病院が従来通りにその門をたたいて入つて来た患者だけを対象としていたのでは完全に責任を果したことにはならなくなつている。近い将来は公衆衛生と病院とが緊密に連携をたもつて研究し,検討し,行動しなければならなくなる。病院で認知した情報を公衆衛生当局に通報して流行のぼつ発に対する予防をさせると同時に,この予防活動にも病院が従事する必要がおこつてくる。もち論従来とても,出席,死亡,結核やポリオの発生等についてはよく情報を提供し,ことに最近の黄色ブドウ球菌の耐性株発生についてはまことに時宣に適した処置をとつてくれたので,これとの戦いが有利に展開しているわけである。
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