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先天性心臓疾患の小児にたいする地区衛生機関の保健事業/食品添加物修正法について
西川
,
有賀
pp.447,459
発行日 1960年8月15日
Published Date 1960/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202304
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1939年の肢体不自由児会議から端を発した先天性心臓疾患の小児に対する保健事業は1951年6月から本格的に具体化して,5州において地区衛生機関がこの問題を取り上げて実施することになつた。その5州とはメリーランド,イリノイ,ミネソタ,テキサス,カルフォルニアである。この事業が発足した当初は受検者も極めて少なく,医療を受ける患児の数もしたがつてきわめて少数にすぎなかつたが,その後事の重大性に気づいて急カーブを画いて上昇している。1950年には2,207名がこの疾患によつて医学的管理を受けていたに過ぎないが,1957年には10,168名と増し,1958年には12,164名が循環系の先天性奇型のために保護されている。本報告は1952年より1956年までの5年間に地区衛生機関が取扱つた地区先天性心臓疾患児養護計画に参加したものについて報告した論文である。最も多いのはファロー氏欠損(17.6%)で,動脈管開口(15.7%),心室隔壁欠損(14.5%),肺動脈狭窄(5.7%)の順になつていた。このような奇形をもつて生れた小児の将来はどうであろうか。これは将来の問題であるが,現在行なわれている外科的治療をもつと幼少の頃にさかのぼつて受けうるようにすることが急務とされている。それは生後1ヵ年間に死亡する小児の4分の3が先天性心疾患が原因であるからで,そのことは小児保健全般に対しても大きな意義をもつことになる。
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