特集 ジフテリア予防接種
乳幼児のジフテリア予防接種,殊に乳児早期接種に就いて
中村 文弥
1
1慶応義熟大学
pp.314-318
発行日 1958年6月15日
Published Date 1958/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201973
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乳幼児に於けるジフテリア予防接種の効果を論ずる場合には,矢張シツク反応の陰転状態と血中抗毒素価の推移如何が問題になる事は言う迄もない。勿論シツク反応がジフテリア免疫状態の大略を示す貴重な反応である事は動かすべからざる事実であるが,私共が最近数年間に亘つて検索した結果からすると,シツク反応の成績と実際の血中抗毒素価とが従来考えられて居たよりも不一致の場合が多く,殊に生後2年未満の乳幼児に於ては案外僅少な抗毒素価で陰性になり,又予防接種後当分の間は更に一層低値で陰性を示して来る傾向が認められる。その故に乳幼児が仮令シツク陰性でもジフテリア罹患の恐れのある場合が可成り屡々存在する可能性がある。
従つてシツク反応の結果に依て,大略は推知し得るものの,実際の免疫状態を知る意味に於て,検査対象は仮令比較的僅少例でも,小児の1人1人に就いて精細に血中抗毒素価を測定して行く事は,主としてシツク反応を以て調査して行く野外実験と並んで,頗る緊要な事である。
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