特集 欧米の公衆衛生事情
ソ聯を訪ねてその保健医療を觀る
暉峻 義等
1
1健康社会建設協会
pp.49-56
発行日 1957年5月15日
Published Date 1957/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201825
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1.医育
ソ聯には,現在,約30万の医師と医学専門家がいる。これに約90万人の助産婦と看護婦,試験検査員,レントゲン技術者等が協働して,ソ聯の医学と医療保健事業の支柱となつている。そして毎年,約2万の医師が新たに医学教育を修了してこれに参加している。
ソ聯では,生産性の向上がとくに重大な国家的目標としてかかげられている。だがソ聯において,私の眼と耳とにはげしくひびいた事実は,物よりも,金よりも,人間が大切だという宣伝と啓蒙とが力強く行われていることである。だから,私のみたところによると,ソ聯では今,あらゆる方面の教育の普及徹底が熱を帯びて進行している。人間を良くし,人間の質をたかめ,人間の働らきを向上することこそ,ソ聯にとつての第一の課題なのである。ソ聯政策はもちろん計画経済と社会主義制度に基礎をもつている。だが,その一方において,非常に力強い教育主義,人間主義,即ち一種の理想主義が実行に移されて,それがソ聯の民衆に将来の希望をいだかせている。
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