特集 公衆衞生に必要な新藥の知識
ねずみ昆虫驅除剤
鈴木 猛
1
1東大傅染病研究所寄生虫研究部
pp.52-57
発行日 1954年6月15日
Published Date 1954/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201403
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予防医学のいちばん外側をうけもつ仕事に鼠族昆虫の駆除事業がある。これは甚だ地味な仕事でありながら国民の文化の程度を直接に反映し,その成果は国民生活の向上に寄与するところが大きい。我が国でも年々この事業が活溌になり,モデル地区をさきがけとして全国に蚊やハエや鼠のいない郷土が続々と建設されるような機運になつてきた。この事業の立役者はいうまでもなく殺虫剤,殺鼠剤を中心とする各種のいわゆるEconomicpoisonである。第2次大戦を契機としてこの分野の薬剤の発展にはめざましいものがあるが,その殆んどが欧米の着実な研究の成果によつており,環境や風土の相違によつて独自な発展が期待されているその応用の面に於てさえも,我が国の実情としては残されている問題が甚だ多い。こゝでは殺虫剤,殺鼠剤,防虫剤(忌避剤)などにつき,我が国における最近の進歩を中心に特にその応用面の発展について解説を加えてみたい。
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