第3回綜合醫学賞入選論文
食品防腐剤の研究—ニトロフラン系及びキノン系の抗菌機作と防腐力並に生体臓器親和性について
八田 貞義
1
,
靑山 好作
1
1国立衞生試験所細菌部
pp.30-53
発行日 1953年9月15日
Published Date 1953/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201265
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1.まえがき
わが国では食物保存の技術及び施設が質量ともに不充分なことに加えて,国民的な嗜好,因襲は加工食品を一層複雑多岐なものとしている。これに気候的な高温多湿の悪条件は日常食品の完全確保を比較的困難なものとしている。したがつてわが国での防腐剤の研究は,重要な疾病の原因究明,治療薬完成の研究と比肩し得る重要な意義を有する国家的研究課題といえる。
しかして食品防腐剤は,①一定の条件で添加すれば標示通りの効果が常に確実に得られ,②添加によりその食品の品質或は価値に悪影響を興えず,かつその使用方法が容易であって③毒性はないか極めて低く,使用量を誤らない限り長期に亘り使用しても人体に害を与えないものでなければならない。
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