--------------------
結核療養所入所患者の実態
岸田 壯一
1
1国立中野療養所
pp.23-26
発行日 1953年2月15日
Published Date 1953/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201166
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
現今の状態に於て結核患者が如何にして発見せられ,如何なる経路をたどつて正当なる治療を受けるに至るかをうかがつて見ることは必ずしも無駄ではない。結核患者の指導に関する記事は新聞雑誌等に数多く掲載されて居り,ラヂオでも毎日の如く放送されているのに,実際に結核にかかつた人々は徒らに左顧右べんして,日時と金銭とを浪費し,その間益々病勢の惡化を招き,或は治療の機会を失するようなことが珍らしくない。著者はこのような観点から国立中野療養所の入所患者の主として入院前の状態を調査してみたので,ここにその概要を報告して,大方の批判を仰ぎたく思う。固より患者の問診に重きをおいたのであるから,記憶の誤りや認識の正しくない点もあるであろうし,又各種各様の状態を統計的に取扱う無理も生じて来たのであるが,今後の結核患者の治療指導に若干でも参考たり得れば,誠に望外の幸と思つて発表する次第である。
昭和20年9月末日現在国立中野療養所入所患者921名(男583名,女338名)につき調査したのであるが,先ず患者の年令構成を検討して注意すべきことは患者の年令層が変化したことである。即ち対数グラフ紙上にかいた第1図に見る如く5才別年令分布曲線に於ては男女共に25〜29才の区劃に最も高い山があることで,このことは過去に於ける諸統計と甚だ趣を異にするところである。
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.