研究報告
弗化ソーダ新塗布法の齲蝕豫防效果について
呉 基生
1
,
國本 朝雄
1
,
米澤 和一
2
,
森山 德長
2
,
田邊 明
2
,
片山 良一
2
,
帆足 望
2
1東京齒科大學口腔衞生學教室
2東京齒科大學微生物學教室
pp.35-39
発行日 1952年10月15日
Published Date 1952/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201117
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1.緒言
輓近豫防歯科領域で弗素歯面塗布によつて齲蝕の豫防を行わんとする研究が大きな問題として取り上げられて來ている。諸外國に於てはBibby(1942)Cheyne(1942)Knutson(1944),Jordan,East,Galagen等の諸氏の研究成績が發表され,我國に於ても美濃口,文部省等の研究成績が發表されたが當教室に於ても1941年頃より斑状歯及び水質所見の實地調査を行い,弗素の含有分布地圖を擴大充實しつつ,その反面,弗化物溶液の齲蝕細菌に對する發育阻害試驗,含水炭素醗酵阻害試驗,及び水道水弗素投入による水中細菌發育阻止試驗を行つて來たのである。その詳細なる實驗成績は公衆衞生の近刊に逐時掲載される筈であるので,茲に於ては省略する事にして,以上の諸實驗に依つて,從來歯面塗布用として用いられて來た2%NaF水溶液よりも齲蝕豫防效果の大なると思われる2%NaFセルロイド浮遊液を考案したのである。新法たる2%NaFセルロイド浮遊液の長所としては2%NaF水溶液よりも,塗布後の乾燥が早い事と弗素の歯面停滯時間が長い事と2%NaF水溶液が化學的作用のみを期待しているのに反して,2%NaFセルロイド浮遊液は物理,化學的作用を期待した點にある。
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