保健所便り・10
郡山保健所
pp.45-46
発行日 1952年1月15日
Published Date 1952/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200991
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名にしおう,磐梯山は,どこにあるのやら,さつぱり見あたらない。朝まだきの郡山驛で,見つけたものは,保健祭りの看板を兩側にたてた,オート三輪車だけだつた。保健所新築一週年紀念とかで,この3日間,保健所祭りをしているのだという。うまい時に,とびこんだものだと,心でほくそえむ。
福島縣は,今年,赤痢對策のモデル地區というので,その防疫にはりきつた。赤痢患者が出れば保健所のオート三輪車がつつ走しつていつた。驚ろいたのは住民である。保健婦の訪問にさえ「保健所の人にきてもらう保險には,まだ入つちやいない」というような地方なのだ。保健所の車がくると,病人をひつさらつてゆく,という噂がぱつと擴がつてしまつた。橋衞生部長のところに「あまり保健所の車を走らせてくれるな。村民が保健所をこわがつて困る」と申し入れてきた村長さえあつた。
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