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副腎皮質ホルモンとそのノーベル賞受賞
松岡 脩吉
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1東京大學醫學部公衆衞生學
pp.155
発行日 1951年10月15日
Published Date 1951/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200930
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1昨年から昨年にかけて,公衆衞生院の外國雑誌を渉獵しているうち,副腎皮質ホルモン,それを誘き出す腦下垂體前葉ホルモン(ACTH),それからこれ等兩ホルモンの注射によるリユーマチ關節炎の治療に關する研究報告が特に目につき,ことに1昨年New Yorkで開かれたリユーマチ性疾患第7回國際學會の記事の一部を見たとき既にこれはノーベル賞ものだと實は感じたのであつた。昨年湯川さんが歸國された直後でもあつたので,ある席で私どもの疲勞調査のことから,腦下垂體副腎系統の話に及んだとき,ついノーベル賞受賞のことにまで話が飛んで,3人の受賞を豫言めいたアテ推量でいったところが,1ヵ月と經たぬ間にそれが事實となったのであつた。
Reidhsteinにしても,Kendallにしても,副腎皮質の産生するいわゆるコルテイコイドの化學的な面で輝かしい仕事をした人であり,後者はHenchその他のメーヨークリニクの人々と共に,コルテイコイドの一つであるコルテイゾン或はACTHにょるリユーマチ關節炎の治療に劇的な效果を確定した1人でもある。Henchは,外科手術・饑餓・異種蛋白にょる發熱・妊娠・黄疸などの場合,リョーマチ關節炎の輕快することに注目し,これが内分泌機能の攣調と關連していることを考えた。そしてACTR或はコルテイゾンとして高度に純化されたものをしかも大量患者に使用し事柄をはつきりさせたのである。
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