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源村に保健文化賞(第2回)?—山梨縣の寒村を尋ねて
石垣 純二
pp.121-123
発行日 1951年2月15日
Published Date 1951/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200781
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13年の刻苦
源村の愛育事業に第2回保健文化賞が授與されるという聲が高い,目下審議中のよしであるから,うんぬんするのは尚早かも知れないけれど,源村の愛育事業,宮城縣の西根村の清潔運動,岡山縣野谷村の驅虫運動,その他などはたしかに,受賞の價値十分であると私は考えている。しかし審査員じやないから,いくら力んでもどうなるものでもないが,この三者のうち,源村はその努力が過去13年間に亘つていること,成果の目覺ましい點などで,斷然有力な候補者のように見える。そこで少々お先走つて,源村の分析を試てみよう
源村は山梨縣の甲府から西へ3里,中巨摩郡の一寒村である。寒村というのは過言かもしれないが,全國でも貧縣で鳴らしている山梨縣でも,中位の村だというから,決して豊な村ではない。昔は養蠶が盛んであつたというが,戰爭中に桑田を米麥に切換えさせられた上に,昨今の繭安で大したこともない。ごくふつうの農村であり,多少の山林の收入はあるけれども,主として穀産でくらしている。人口は4千,面積1,5平方里,東西に細長くひろがつた楕圓形の村である。
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