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保健文化賞の位置づけ
阿彦 忠之
pp.41
発行日 2014年1月15日
Published Date 2014/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102937
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保健文化賞は,第一生命保険株式会社の主催(厚生労働省,朝日新聞厚生文化事業団およびNHK厚生文化事業団の後援)により,保健衛生(関連する福祉等を含む)の向上に関する実践活動や研究で顕著な成果をあげた団体,および個人を顕彰する賞です.贈呈式は昭和25(1950)年3月の第1回以来毎年実施され,創設10周年以降は受賞者が贈呈式の翌日に皇居に参内し天皇皇后両陛下の拝謁を賜ることとなりました.本賞は今年度で65回目を迎えましたが,公衆衛生の分野では国内で最も権威ある賞といわれています.
創設の背景には,戦後の新しい保健所(おおむね人口10万人に1か所)の整備などを指導した連合国軍総司令部(GHQ)の存在がありました.GHQから国内の生命保険会社に対して,国民保健の向上に寄与する施策を検討するよう依頼があったことを受けて,第一生命保険(当時は相互会社)が,昭和24(1949)年6月の社員総代会で本賞の設立を決議したとされています.同社は,戦後まもなく日比谷の本社屋(第一生命館)がGHQの庁舎として接収されたことで知られていますが,本賞の創設にも両者の密接なかかわりがあり,第1回贈呈式にはGHQ公衆衛生福祉局長のサムス准将も出席したという記録があります.
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