特集 保健所
奈良標準保健所の巡回健康相談班
服部 敏
1
1奈良標準保健所
pp.141-142
発行日 1950年3月15日
Published Date 1950/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200597
- 有料閲覧
- 文献概要
奈良標準保健所は1市3郡,38カ市町村が管下に屬しており,山間部の村落へは,1日1,2回しかないバスで3時間はかかるといつた状況である。保健所の外來活動がその所在地及び僅かに周邊町村の住民にのみ利用されているという缺點は,現在の機構では解決し難い難點と考えられる。此の根本的な解決策は要所々々に支所を設ける事以外にはあるまい。而し之にはモデル以外は格別と云つた保健所の多い現況では相當思切つた豫算及び人事の處置が必要であり,早急に實現は期し難い。
他面保健所のフィールドワークは,現在の機構で,保健豫防課の各係長の手にゆだねられている。檢診對象を學校衞生,産業衞生,母子衞生等々特異な社會形態別に把握して實施する場合には斯る機構でも充分であろう。而し,其の對象を地域的な社會集團單位に分けてフィールドワークを行わうとする時には,眞に不充分である。何故なれば,斯る場合の仕事は規模の大小こそあれ,多面多角的な保健所の技術的機能が一つに溶けあつて,行政面を通じてその地域の社會活動の裡へ圓滑に流れ込んで行かねばならぬからで,換言すれば保健所の全機能を發揮し得る様な檢診態勢を整える事が必要であるからである。
Copyright © 1950, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.