原著
パラチフス様症状を呈した患者の流血中より分離したAerobacter cloacaeの1株について
水之江 公英
1
1慶應義塾大學醫學部細菌學教室
pp.149-153
発行日 1949年9月15日
Published Date 1949/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200523
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1.緒言
大腸菌屬の病原性については,古くから問題にされたが,系統的に研究せられたのは比較的最近である。例えばEdwards等はArizona groupとして一連のものを報告し,又Kauffmann等は生物學的乃至は血清學的に,病原性大腸菌と非病原性大腸菌とを區別している。
然し之等の記載をみると,多くは赤痢様症状を呈したものであつて,まだ大腸菌屬によるチフス樣症状を呈した報告については,寡聞にして知らない。未發表ではあるが,最近大林氏等は,大腸菌による肝膿瘍2例の剖檢例を報告し,この場合流血中より大腸菌を分離し,やはりチフス樣症状を呈し,死亡したものであると報告してゐる。
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