研究と資料
最近の赤痢の増減と屆出について
山下 章
1
1東京都衞生局防疫課
pp.151-153
発行日 1948年7月25日
Published Date 1948/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200316
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赤痢(疫痢を含む。以下同じ)の罹患率が地方によりその變動に大きな差があり,從來一般に都會に多いとされていた本病が茲2, 3年來農村に多いという傾向を示して來た。然し乍ら一般に傳染病の患者の數というものは醫師から屆出られた數であつて,眞の患者數とは必ずしも一致しないのである。殊に赤痢の樣に菌檢出が低率であり,臨牀的にも類似の疾病の多い病類にあつては,屆出の數と眞の患者の數との差は相當甚しいということは既に識者の説へるところであるが,最近の赤痢の罹患率の變動が餘りにも大きいので,私は次の樣な調査をなし,この現象の究明を試みたのである。
最近に於ける赤痢の罹患率による地方別の變動を見ると都市型,農村型及びその中間型の三型に大別することが出來る。而して都市型と農村型とは丁度對照的な型をしている。そこで私は都市型の代表者である東京と,農村型の代表者である東北とを選び,この二者について過去20年の罹患率の比較と綜合死亡率(赤痢死亡者と2歳以上の下痢及び腸炎の死亡者を合したものゝ死亡率)のそれとを對象して見た。之が第1圖及び第2圖である。
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