発行日 1952年1月15日
Published Date 1952/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909353
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これは,乳兒院を訪ねたときの,私個人の印象記である。
影の中の乳兒たち,という題名も,私の好みでつけたものである。しかし,これは,私だけの趣好から生じた表現形式であつて,編集部との約束ではルポルタージュということになつていたのである。が,私はこのたびだけはルポという形式に問わないで,私自身の好みに應じた氣儘な形式で書かせてもらいたいと考える。
乳兒院,すなはち,人生の影である。影の中で,ほそぼそと,育つている乳兒たちの集會場所である。これはしかし,理の當然かも知れないと思う。當然なことに,まるつ切り氣付かなかつた,私は大層,迂闊者であつたと,いまでは後悔しているのだが,後悔しても始まらぬ。
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