特集 第1囘公衆衞生學會研究發表
第2日目
研究發表
56)奈良縣吉野郡野迫川村に於ける蛔蟲寄生率について
石田 一郎
1
1奈良縣立野迫川保健所
pp.51-52
発行日 1947年12月25日
Published Date 1947/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200232
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緒言:戰後食糧及驅蟲劑の不足と生活環境の惡化より,國民保健上その感染率の著しく高率と考へられ注目せられる。寄生蟲特に蛔蟲の保有状況を山村たる野迫川村に於て糞便塗抹標本檢査に依り,體性反び年齢により分類してその蟲卵保有率と,併せて概標本中の蟲卵含有状況を檢査してこれが對策に資せんとした。
野迫川村の環境:野迫川村は紀伊半島の山嶽部にあり,和歌山縣橋本町より森林道路約10里を唯一の交通路とし,荒神嶽(1260米)を中心とせる南北約5里,東西約7里の山間に(海抜平均800米以上)各部落の戸數約20乃至50,人口150人乃至300人を有する14の占在する部落よりなり,村の總人口は約2900人にして男女略々同數,1年平均温度攝氏12度前後を示し,住民の家業は主として,山林勞働者にして食糧の自給は不能で,若干の野菜類は開墾一部で耕作して補給す。飲料水は泉水溪流より良質のものを各戸にカケヒに依り導入して使用するも,便所は便池を木(桶平均直徑2米深さ3米)を使用し,肥料として直ちに便池よりくみ出して使用する習慣あり。糞便と外界とは開放的にして衞生學的に不備なり。
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