公衆衞生の先驅者・2
William Thompson Sedgwick
野邊地 慶三
pp.232-237
発行日 1946年12月25日
Published Date 1946/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200081
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
W. T. Sedgwick(1855-1921)は,公衆衞生學を開拓建設し,遂ひに公衆衞生大學設立の機運を到來させた人であつて,米國の公衆衞生が今日の如く隆盛になつたのは彼れに負ふところが大きいのである。諸國も亦た彼の提言に從つて相次いで公衆衞生大學又は研究所を設け,之によつて其國の公衆衞生水準が急に高められ,國民が近代豫防醫學の恩澤に浴し得るやうになりつゝあつて,夫れ等の諸國も亦た彼の恩惠に浴して居るのである。斯の様な次第でSedgwickは人類の文化史上永遠に記念さるべき存在である。
Sedgwickは其の人となり教育家として,科學者として,又た一市民として殆んど完壁に近く,私達の師範として仰ぐべき人であつた。私は先年Sedgwick創業のHarvard公衆衞生大學に學んだが,彼れ逝いて3年後であつたので遺憾ながら親しく其の指導を受けることは出來なかつた。然しながら幸にして,Sedgwick氏と風格相通づる所の多かつた其の高弟George C. Whipple,其の學友Edward B. Wilson氏等に師事し,又た彼れの愛弟子Selskar M. Gunnと親しい交渉をもつたので,Sedgwickの人となり,業績を傳へ聞くことが出來た。
Copyright © 1946, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.