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緒言
ヂフテリアは感染とその流行とに關する基本的な諸問題の研究の對象として甚だ都合のよい疾病の一つである。即ち病原體が明かであり且つその存在を比較的容易に證明しうること,到る處に殆んど常時感染があること,感染の結果免疫が成立しそれが比較的容易に證明出來ることなどがその理由である。そこでヂフテリアの疫學を取扱ふことによつて,廣く感染とその流行とにまつわる一般的な未知の領域に踏み入りたいのが,この研究を始めた理由の主なものであるが,ヂフテリアそのものは近年全國的に増加の傾向にあり殊に東京都に於ては昭和17年頃から激増の一途をたどつてゐる。
ヂフテリアの感染源として健康保菌者が甚だ主要な役割を演ずることは既に多數の研究調査(1-7)によつて認められて來たところである。例へばFriedemannの推定によると,患者の97.6%は保菌者との接觸により感染し,ほかに2.4%が患者との接觸の結果感染するものであると云つてゐる。
The prevalence and distribution of diphtheria carriers among the Akashi Public School children, Kyobashi ward, Tokyo, was studied, earring out monthly bacteriological examinations of the cultures of the throat swabs as to ca. 260 of them twenty-one times for the period from May 1942 to March 1944. Cultures on Arakawa's plates containing 0.035 per cent. Kalium tellurite were examined after 48 hours' incubation. Colonies showing morphological characteristics of Corynebacterium were inoculated on the inspissated serum slopes.
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