映画の時間
―答えはひとつじゃない.人生は色とりどり.それぞれ好きな色があっていい.―ローマの教室で~我らの佳き日々~
桜山 豊夫
pp.649
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401103100
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ローマにある高校の始業の風景,若い教師が補助教員として赴任するところから映画は始まります.ナレーションのようにかぶるセリフは,その高校に長く勤務する老教諭フィオリートの独白です.イタリアの教員に定年制度があるのかどうかわかりませんが,日本で言えば定年間近,あるいは既に定年を過ぎた年齢の,この老教諭は既に教育への情熱を失っているかに見えます.教育だけではなく,人生への情熱も失いかけているのでしょう.半ば発作的にアパートの窓から飛び降りようと窓枠に立ちますが,偶然にアパートに面した道路で工事が始まり,自殺への情熱も失せてしまいます.
若い新任の補助教師プレツィオーゾはやる気満々の熱血教師ですが,どことなく頼りない感じもします.そんなプレツィオーゾを迎える女性の校長フェラーリオは,教師は学内の問題に対応すべき,という方針です.
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