ジュネーブからのメッセージ
Why not Both!?①両方やればよいじゃないか─Why Not Both! のすすめ
中谷 比呂樹
1
1WHO事務局
pp.471
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102772
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この原稿が読者の方々の目に触れるのは,5年おきに日本とアフリカ諸国首脳が対話する「第五回アフリカ開発会議」の直後.なぜアフリカといった地球の裏側まで苦しい財政状況の日本が援助するのかと素朴な疑問を持たれる方も多かろうと思う.われわれからすれば,健康という基本的な人権確保の人道的価値に加えて,アジア・ラテンアメリカ諸国が次々と低所得国の状況を離脱していった後,とり残された国々と手に手を携えて発展の道を歩みたいから,ということになるのだが,日本という国の立場からはどうとらえたらよいのだろうか.
まず,未知の強い感染症は,途上国から蔓延することが近年の経験である.これらの国の衛生状態が改善して感染症が一挙に世界に広がることが防げるとしたら,日本国民のまさに「専守防衛」になろう.そして,途上国の国民の健康が向上し,生産力があがれば所得も増え,政情も安定して,資源が安定的に得られるのみならず,日本製品の新たな市場になる可能性が増えるなど,貿易によって世界で生きていかざるを得ない日本にとって,途上国の発展が重要なことが理屈としてはお分かりになるだろう.
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