特集 若者の精神保健②
若者の違法薬物の使用実態の現状と行政の対応について
大貫 奈穂美
1
1東京都福祉保健局健康安全部
pp.438-442
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102755
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はじめに
平成23(2011)年秋以降,違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)による健康被害や摂取者による自動車事故などが増加し,大きな社会問題となっている.実店舗,およびネット販売を合わせた国内の違法ドラッグ販売店舗数は,平成23(2011)年度末に389店舗と報告されており1),大都市の繁華街のみならず郊外の住宅地へも店舗が進出している.
従来,薬物乱用防止教育の対象となっていた薬物は,覚醒剤,大麻,麻薬,シンナーなど有機溶剤であった.しかし,この違法ドラッグ問題の拡大により,内閣府薬物乱用対策会議は,平成24(2012)年8月に「合法ハーブ等と称して販売される薬物に関する当面の乱用防止対策」として,第三次薬物乱用防止五か年戦略に「多様化する乱用薬物への対応」として示された基本方針に加えて,違法ドラッグに対する監視指導・取締りおよび予防啓発の強化を図ることとした2).
本稿では,若者の違法薬物使用実態と行政の薬物乱用防止対策について,違法ドラッグを中心に概説する.
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