映画の時間
―光あふれる世界へ―海と大陸
桜山 豊夫
pp.296
発行日 2013年4月15日
Published Date 2013/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102721
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イタリア南部,地中海に浮かぶ小さな島が舞台です.主人公のフィリッポ(フィリッポ・プチッロ)は20歳を迎えたばかり.父親は2年前に亡くなっていますが,漁師の祖父エルネスト(ミンモ・クティッキオ)が父親代わりとなって,美しい母ジュリエッタ(ドナテッラ・フィノッキアーロ)との3人暮らしです.家族は漁業で生計を立てています.しかし漁業を取り巻く環境が厳しくなってきているのは日本と同じようで,島では漁業に見切りをつけて観光業に転進する人たちも多く,主人公の叔父ニーノもその一人です.叔父は主人公フィリッポを可愛がりますが,祖父に対しては補助金が出るうちに所有する漁船を廃船にし,漁を止めて隠居するように勧めています.
フィリッポの母も,息子と一緒に都会へ出ようと考えていますが,フィリッポ自身は祖父と一緒に漁に出る生活を続けたいようです.とは言え,生活は豊かではありません.夏の観光シーズンが来ると,家族はガレージに引っ越して,家を観光客に間貸しします.3人の若者が客となり,フィリッポとの交流が始まります.青春映画かと思うと,事態は思わぬ方向に.
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