特集 高齢者の身近な疾患
高齢者の耳鼻科疾患
青柳 優
1
1山形県立保健医療大学
pp.355-359
発行日 2012年5月15日
Published Date 2012/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102412
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
わが国では1950年の高齢化率は4.9%であったが,1950~1980年の出生率低下によって高齢化が進み,2007年には高齢化率が21.5%となり,超高齢社会となった.高齢者の病的状態は,①加齢による生理的変化と,②重要臓器の正常な消耗ないし能力の減退や,免疫力・抵抗力の低下に起因する疾患に分けられる.前者には感覚器の感度低下や運動器の能力低下があり,後者には感染症に対する抵抗力の低下,自己抗原の認識力低下による慢性自己免疫疾患の増加,悪性腫瘍出現頻度の増大などが含まれる.
耳鼻咽喉科領域における高齢者特有の問題としては,難聴,耳鳴,平衡障害(ふらつき),鼻出血,口内乾燥症,誤嚥,音声の変化,頭頸部癌などが挙げられる.癌については別途論じるべきであると思われるので,ここでは頭頸部癌以外について,耳,鼻・副鼻腔,咽喉頭に分けて概説する.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.