特別寄稿 公衆衛生のアイデンティティを求めて・2
公衆衛生学の分化と統合をめぐって
實成 文彦
1,2
1山陽学園大学
2日本公衆衛生学会
pp.710-716
発行日 2011年9月15日
Published Date 2011/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102212
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公衆衛生とコミュニティ
公衆衛生(Public Health)の代表的定義として用いられるウインスローの定義では,人々が日常生活を営むコミュニティにおいて,組織的に健康を維持・増進することを中心的課題としている.人々が生まれ育ち,生活し,教育を受け,事業・生産活動を営み,やがて老いていく基本的場がコミュニティ(地域社会)であるが,健康を維持・増進することも,害するのも,また保健医療福祉活動の具体的な種々のケアやサービスを受けるのも,このコミュニティにおいてである.
疫学・人間生態学的な視点で言うと,コミュニティは共同社会として種々の人々が様々な価値観や目的を持って暮らしており,自然環境や社会的環境の影響を受け,また自らの心理・意識・行動や生活習慣とも相俟って,種々の健康事象を呈する.コミュニティに存在するアソシエーション(機能集団)である学校や職域・事業所を始めとして,保健医療福祉資源(専門職・施設・機関等)やその他の社会資源も,心理および社会・環境要因として,人々の健康に様々な影響を及ぼす.
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