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はじめに
わが国の高齢化は他の先進国に類を見ないスピードで進行している.老年人口(65歳以上人口)は年次が推移するとともに増加し,特に,後期高齢者(75歳以上人口)の増加が目立ち,前期高齢者数(65~74歳人口)を凌ぐ勢いがある.このことは,高齢化の年齢構造がより高齢層へシフトしてきていることを意味している.
これは超少子高齢・総人口減少社会が到来していることを示している.老年人口がより高齢層へシフトするとともに,年少人口(0~14歳)と生産年齢人口(15~64歳)の数の総人口に対する割合も減少し,ますます超高齢化社会へ突き進んでいる.このような状況の中で,高齢者の外因死である,不慮の事故による交通事故を除いた死亡数が増加傾向を示している.
高齢者における交通事故以外の不慮の事故による死亡数の約4割は,生活の場である家庭内で発生している.家庭内で起きている死亡事故は,居間,台所,階段,浴槽・風呂場で多く発生し,高齢者の健康で安全な日常生活を送る上で大きな問題となっている.
また,高齢者のいる世帯も増え続け,2009年には全世帯(4,801万世帯)の41.9%を占めるようになった1).高齢者のいる世帯では,家庭内事故の実態を認識し,日常から事故に遭わないように心掛けることが重要である.
そこで本稿では,現時点で公表されている最近10年間の2000~2009年までの人口動態統計,10月1日現在推計人口,国勢調査結果(2000年および2005年)そして平成21年度「不慮の事故死亡統計」を資料として用い,主として家庭内事故の減少に資することを目的に,高齢者における交通事故以外の不慮の事故の,最近の動向と現状について検討したことを述べる.
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