特集 肥満とやせ
若い女性のやせ志向とダイエット―健康教育の課題
瀧本 秀美
1
1国立保健医療科学院生涯保健部
pp.488-491
発行日 2010年6月15日
Published Date 2010/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101822
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はじめに
若い女性の「やせ」志向は,先進国で今では広く見られる現象となっている.やせ願望の強い若年女性にとって,肥満への恐怖心が不必要な減量行為の引き金となることが危惧される1).過度の減量行為は,栄養素の欠乏や月経不順,摂食障害の原因となることが先行研究によって指摘されている2~4).
これから妊娠・出産を迎える年齢の女性における「やせ」で最も大きな問題は,胎児への影響である.母体が妊娠前から「やせ」であった場合に児の出生時体重が低下するという現象は,あらゆる国で普遍的に見られるものである5).これは,「やせ」の女性では胎児への栄養素の供給源となる体内の栄養素の蓄積量,すなわち内臓や骨などの除脂肪体重が少ないためではないかと考えられている.
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