「公衆衛生」書評
地域診断のすすめ方―根拠に基づく生活習慣病対策と評価,第2版
多田羅 浩三
1
1放送大学
pp.257
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101068
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国立保健医療科学院の水嶋春朔先生が,眼からうろこが落ちるような,意欲的な本を出版された.「地域診断のすすめ方―根拠に基づく生活習慣病対策と評価」である.
「健康日本21」という国民運動が推進されている.平成14年に制定された健康増進法では,その第2条で「国民の責務」ということが言われた.自らの健康状態について自覚し,健康づくりに努めることは,国民の責務とされた.そして,昨年から厚生労働省は,人々の腹囲を主な指標としたメタボリック・シンドローム対策の旗を立ち上げている.まさに国民を主役とする,健康づくりがすすめられている.これらの運動の中で最も強調されているのが,「根拠のある健康づくり」ということであろう.人々は,自分の健康状態や日ごろの生活習慣に即した固有の「根拠」をもとに,自らの健康づくりの目標を定め,設計し,実行しなければならない.だとすれば,このような人々の健康づくりをどのように支え,相談に乗っていくか.どのように根拠を明らかにし,健康づくりに取り組めばいいのか.水嶋先生がこの本によって,その課題に取り組むために必要な基礎的な知識と方法を,詳細に判りやすく示してくれた.
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