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最近ではテレビのコマーシャルでも「歯周病」という病名を頻繁に耳にするようになり,この病名の巷での認知度は随分と上がっている.しかし,歯医者と聞けば,歯を削る甲高い機械音とそれに伴う痛みの連想がいまだに根強いようである.実際,歯周病の自覚症状や治療方法等,その具体的な実態を何人の人が思い浮かべることができるだろうか.自らの口の中を覗くことは難しく,仮に覗くことができても,歯科医師ですら視覚のみではこの病変の正確な把握は困難であり,このやっかいな疾病の実態は知名度ほどには十分に世に広まっているとは言えない.さらに,この疾病は進行に伴う痛みが少ないことも相まって,罹患者の大部分が自分には縁のないものと思い込んでいる(思い込みたい?)ことが,この疾患の対策をよりいっそう複雑なものにしている.本誌の読者も決して例外ではなく,これを機に,一度歯科医院に受診されることをお勧めしたい.
一方,「メタボリックシンドローム」は昨年の流行語大賞のトップテンにランクされており,医療関係者ならずともこの言葉を知らぬ者はいないと言っても過言ではない.昨年の6月に医療制度改革法案が参議院で可決されたことを受けて,平成20年4月からはメタボリックシンドロームに重点を置いた健診制度の開始が各医療保険者に義務づけられたことから,今後ますます多くの予算が費やされた「メタボリックシンドローム」関連の保健事業が動き出すことは必至である.昨年に逃した流行語大賞を今年は奪回することも予想される.いずれにせよ,お腹に巻いたベルトに象徴される内臓脂肪型肥満と,血圧値や血液検査の結果から得られる空腹時血糖値,HDL-コレステロール値,中性脂肪値などは,どれも生活習慣病との関連が理解しやすく,今後これらのパラメーターを束ねた「メタボリックシンドローム」が,生活習慣の在り方の指標として人々に定着することは予想に難くない.
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