視点
フランスに学ぶ実務教育中心の公衆衛生の人づくり
松田 晋哉
1
1産業医科大学医学部公衆衛生学
pp.904-905
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100989
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少子高齢社会の進行と地方分権化の流れの中で,地方自治体における公衆衛生関連業務の種類と量が増大している.また,最近の政策評価への関心の高まりにより公衆衛生行政についても,その有効性の評価が求められるようになってきた.
このような環境変化の中で,公衆衛生行政の専門職をどのようにして体系的に養成していくかが議論されている.そして,その結果,例えば医学関連学部における公衆衛生大学院課程の設置などが実現されてきている.これらの大学院では社会人入学の制度が導入され,現職の公衆衛生関連職種(医師や保健師など)が,日中の勤務に加えて,大学院修士課程・博士課程で学んでいる.このような形で公衆衛生行政の現場と大学とが協同することは,大学における公衆衛生教育および研究にもよい影響をもたらすものと思われる.また,これらの専門大学院の場合,例えば九州大学のように,医学系のみならず,社会学や経済学・経営学といった学際的な講師陣の構成となっていることも特徴的である.公衆衛生行政の現場では,単に医学の知識のみならず,経済や法律に関連する知識が必要であることを考えれば,このような学際的な公衆衛生教育が行われることは,非常に重要である.
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