連載 全国いきいき事例ファイル・4
蘇陽町における健康な地域づくり活動経過から学ぶこと
福本 久美子
1
,
星 旦二
2
1熊本県山鹿保健所
2東京都立大学・都市研究所
pp.887-891
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100977
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
健康な地域づくりと研究目的
本稿では,WHOが提唱しているヘルス・プロモーション(Health Promotion,以下HP)の観点から,健康な地域づくり活動として蘇陽町(態本県)で実践されてきた活動経過と活動効果を評価し,HPの推進要因を明確にしたので報告します.この背景として,昭和63年に結成された「全国いきいき公衆衛生の会」のメンバーが目指した目標があります.この会が結成された主な理由は,全国的にみた実践的な活動事例から学ぶため,その実践活動を他の地区にも波及させていくための実践方法論を構築すること,具体的な推進要因を明確にすることを重視したからでした.
1. WHOの提唱するHPの特性
ここで用いる「健康な地域づくり」は,WHOが提唱しているHP1)そのものです.1991年にWHOのHP世界会議によって示されたサンドバール健康宣言2)では,健康政策の位置づけと内容を次のように示しています.「環境と健康の両面が中核的で最も優先性の高いものとして位置づけられ,日々の政策課題の中で,最も大きな関心が示されるべき」と.また政策内容は「教育,輸送,住居,都市開発,工業生産,農業の部門等を健康に関連づけて優先していくことになる」と示されています.このように人々が健康になれる政策を幅広く捉え,その優先性を高め,同時に位置づけを高めていく時代が到来していると考えています.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.