特集 感染症法の成果と提言
臨床現場から見た感染症法
相楽 裕子
1
1横浜市立市民病院感染症部
pp.264-266
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100840
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1999年4月1日,「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下,感染症法)が施行されてから4年近くが過ぎ,見直しが始まっている.感染症法制定の背景として,世界的な新興・再興感染症の流行,医学・医療,衛生水準や国民の健康状態の向上,人権尊重,行政の公正透明化への要請,感染症の国際化等,感染症を取り巻く状況の変化があった.
本稿では,感染症法によって感染症医療はどのように変わったのか,臨床現場から見た感染症法の成果と問題点,今後の課題を考えてみたい.
臨床現場から見た感染症法制定のポイント1)
感染症法における主な変更点は,従来の社会防衛という考え方から,個々の国民の予防と,良質かつ適正な治療の積み重ねによって社会全体の予防を推進するという考え方に転換したこと,感染症サーベイランスを行い,あらかじめ基本・予防指針を策定することによって事後対応型から事前対応型へ転換したこと,そして患者・感染者の人権尊重等である.臨床現場においての最も大きな変化は,感染症類型化と,感染症指定医療機関および感染症審査協議会の設置であった.
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