特集 地域精神保健活動―医療の質とその周辺
精神障害者のノーマライゼーションはどこまで進展したか
黒田 研二
1
1大阪府立大学社会福祉学部
pp.92-96
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100557
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
日本の精神保健施策において精神障害者の「社会復帰の促進」が目標として掲げられるのは,1987年の精神保健法の改正においてである.以来すでに15年が経過しているが,精神病院(一般病院精神科を含む)に入院中の人は33~34万人ほどで変化はなく,社会復帰が促進されたとはとうてい言えない状況にある.1995年に精神保健法は精神保健福祉法へと改正され,法の目的に「自立と社会参加の促進のための援助」がさらにつけ加えられた.障害者のノーマライゼーションは理念として掲げられているが,現状との乖離は埋められぬままである.
社会保障審議会障害者部会精神障害分会が2002年12月に出した報告書「今後の精神保健福祉施策について」では,「今後10年のうちに『受け入れ条件が整えば退院可能』な7万2,000人の退院・社会復帰を目指す」とし,そのために必要なサービスを整備すると述べている.果たして,失われた15年間の政策を挽回できるであろうか.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.