特別寄稿
高齢化率日本一地域における「ゆる体操」の効果
高岡 英夫
1
1(株)運動科学総合研究所
pp.548-552
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100426
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高齢化率日本一地域の危機感
三重県の南端に位置する,熊野市を中心とした御浜町,紀宝町,紀和町,鵜殿村の1市3町1村により構成される紀南地区は,高齢化率日本一,その値は30%に達し,20年後のわが国の高齢化率を先取りした,高齢社会のモデル地域とも言われる.この紀南地区では,三重県と五市町村の合弁事業として,平成9年より第一次,同14年より第二次の計10カ年の健康長寿推進事業が動いているが,第一次では平成13年の終了時点で,高齢者には数本の趣味もしくは生きがいサークル的活動が残ったものの,全住民を巻き込んだ地域横断的,相互連携的な,住民主体の永続性ある健康長寿推進活動の実現は,第二次の実施に期待されることとなった.
第二次計画では,第一次で達成することのできなかった目標達成を是が非でも実現したいという機運が,責任主体である紀南健康長寿推進協議会(会長:川上敢二熊野市長)のメンバーの中に高まっていたようだ.高齢化は,その結果として疾病罹患率の増大と医療経済の疲弊をもたらすばかりが問題なのではなく,そもそも若者と子どもたちの明るく元気な声の消えた,年寄りばかりの社会の中で「静かなる不幸」を招くことこそが問題の本質と言われるが,こうした現実にきわめて立脚した痛切なる思いが,担当サイドにあったということであろう.第二次計画のプランナーとして外部から招聘された公衆衛生医,落合正浩氏,杉谷俊明同協議会事務局長,山下成人熊野保健所長は,この地域の深刻な状況を筆者に訴えてこられた.根幹から人を心身ともに健康にし,根幹から地域を元気にすることのできる画期的方策が必要なのだと語られていた.
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