連載 世界を見て,日本を見る.Public Health Opinion・5
英国の公衆衛生教育
正林 督章
1
1島根県健康福祉部
pp.402-403
発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100390
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ロンドンスクールでの公衆衛生教育
1. ロンドンスクール概況
平成8年9月より平成9年9月までの約1年間,私はロンドン衛生熱帯医学学校(London School of Hygiene & Tropical Medicine,以下ロンドンスクール)に留学する機会を得た.当時のロンドンスクールの概況を述べると,組織としては,公衆衛生政策学部,疫学人口科学学部,医療寄生虫学部,臨床科学学部の4学部から成り立っていた.職員数は大学から直接給与を支給されている研究職がパートも含め113名,その他大学以外から給与を支給されている研究職員が173名おり,その出身国も31カ国と多彩であった.後者の職員は日本の大学の助手や講師クラスに相当すると思われるが,自分で人件費込みの研究費を国,国際機関や財団から取得して,ロンドンスクールに籍を置きながら研究を行い,成果が出ないと解雇される身分である.
学生数はドクターコースも含めると計564名,男女比率は3:4でやや女性が多く,その出身国はヨーロッパ,北米,南米,アフリカ,アジア各地域の81カ国にわたるが,半数は英国人である.平均年齢は30歳台前半と言われており,みなバラエティに富んだ経歴の持ち主だ.現に私のクラスメートは,ルワンダ保健省の健康教育課長,国境なき医師団の一員としてアフリカの各国を10年以上回っているベルギーの医師,無医村で母子保健プロジェクトをリーダーとして運営してきたバングラディッシュの医師など様々であった.なお,医療関係者の占める割合は全体の1/3程度である.
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