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健康フロンティア:戦略研究課題の背景
平成17年度から「戦略研究」課題の仕組みが開始されることになり,準備が進められている.これまでの厚生労働科学研究は,毎年10月末頃に公募課題が示され,その課題に沿った研究テーマついて,研究班を組織して研究計画を応募する.この一般公募型に加え,今年度から戦略研究という新たな研究類型で「糖尿病対策戦略研究課題」と「自殺関連うつ対策戦略研究課題」が開始される.共に公衆衛生領域の関係者にも関係の深い研究課題なので,その概要を紹介する.
戦略研究課題創設の背景を理解するために,まず健康フロンティア戦略の説明から始める.「健康フロンティア戦略」とは,平成17年から平成26年までの10年間を実施期間とし,「生活習慣病対策の推進」と「介護予防の推進」を柱として健康寿命を2年程度伸ばすことを基本目標とする戦略である.平成16年5月の与党幹事長・政調会長会議においてまとめられた.この戦略の推進のために,6月の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」で関係府省が連携して重点的に政策を展開することとされ,厚生労働省と文部科学省は,推進の準備をしてきた.
この過程で,厚生労働省の科学技術の振興を審議する第21回厚生科学審議会科学技術部会では,健康フロンティア戦略の科学技術ロードマップを示した(図1).そして,研究寿命の延伸という観点から,健康負荷が大きく,かつ研究の推進による健康負荷の軽減が大きいと考えられる糖尿病や心の健康等の分野については,これまでの公募型,指定型という枠組みを超えて,規模の大きい戦略研究(仮称)という枠組みを導入することになった.これが戦略研究課題創設のきっかけである.
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