症例ライブラリー 無尿と乏尿
低リスクの甲状腺乳頭癌手術で尿が出ない
坂口 嘉郎
1
Yoshiro SAKAGUCHI
1
1佐賀大学医学部 麻酔・蘇生学
キーワード:
乏尿
,
急性腎障害
,
AKI
,
平均血圧
,
循環血液量
Keyword:
乏尿
,
急性腎障害
,
AKI
,
平均血圧
,
循環血液量
pp.14-17
発行日 2026年1月1日
Published Date 2026/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360330010014
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■症例
22歳の女性。身長154cm,体重50kg。甲状腺乳頭癌に対し,左甲状腺半切除術,左頸部郭清術が計画された。予定手術時間は5時間。特記すべき既往歴,家族歴なし。術前検査にて,軽度貧血(ヘモグロビン値11.5g/dL)以外は異常を認めなかった。
手術前夜に夕食全量摂取後,手術室搬入3時間前までに経口補水液800mLを飲用した。
■麻酔経過
手術室で末梢静脈路を確保し,ブドウ糖加酢酸リンゲル液の滴下を開始した。フェンタニル,レミフェンタニル,プロポフォール,ロクロニウムを用いて導入。気管挿管した後,尿道カテーテルを留置し,30mLの尿の排出を確認した。導入時,血圧が80/45mmHgまで低下したため,エフェドリン4mgを投与した。術中はプロポフォール,レミフェンタニル,ロクロニウムを用いて維持した。術中の血圧は80〜110/45〜60mmHg,心拍数は45〜85bpmで推移した。平均血圧が60mmHg未満になった際に,エフェドリンとフェニレフリンで昇圧した。
手術開始4時間の時点で出血量は40mL,尿量は新たに70mL排出されて積算100mLなので,0.35mL/kg/hrである。尿道カテーテルの屈曲や閉塞などがないことを確かめた。ここまでの輸液負荷量は,酢酸リンゲル液800mL。
さて,あなたならどうする?

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