連載 作業療法を深める・第114回
筋量・筋機能維持を支える食と運動—フレイル予防への応用
青井 渉
1
Wataru Aoi
1
1京都府立大学大学院 生命環境科学研究科 栄養科学
pp.1053-1057
発行日 2026年9月15日
Published Date 2026/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540600101053
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
骨格筋は身体活動を支える運動器としてだけでなく,糖・脂質代謝や免疫機能の調節にも関与する.運動によって骨格筋から分泌されるマイオカインが全身の代謝や健康に影響を及ぼすことが明るみになり,骨格筋は分泌臓器としての側面も有すると考えられるようになった1).このような背景から,筋が全身の機能や健康に果たす役割を包括的に捉えるMuscle Health(マッスルヘルス)の概念が注目されている2,3).Muscle Healthは健康寿命の延伸とも密接に関連しており,加齢に伴う筋量・筋力低下やフレイル,サルコペニアの予防の観点からも重要視されている.
筋肉の維持・増強には身体活動・運動の習慣化と適切な栄養摂取が不可欠である.従来から,スポーツ栄養学の分野では競技力向上やコンディショニングを目的として,運動と栄養を組み合わせた介入の重要性が広く認識されている.一方,高齢者の健康維持やリハビリテーションにおいても,運動と栄養の複合的介入が筋機能の維持・改善やフレイル予防に効果的である.本稿では,筋肉と健康との関係について概説したうえで,食・栄養および運動・スポーツの視点からMuscle Health維持のための知見を整理し,フレイル予防への応用について考察する.

Copyright © 2026, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.

