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連日猛暑が続く中,高知県にて2025年7月19日(土),20日(日)に第28回日本臨床脳神経外科学会が開催されました.本学会は「多職種協働によるイノベーション〜未来への航海〜」がテーマでした.このテーマには,脳卒中と認知症の予防と治療を中心に,脳神経外科疾患について多職種で議論を深め,相互の知識交流を図りたいという本大会長の内田泰史先生の想いが込められていました.実際に参加者も医師,看護師,リハビリテーションスタッフ,診療放射線技師,薬剤師,医療機器メーカー等と多岐にわたり,講演や発表内容も幅広く,医療,看護,リハビリテーション,地域連携,人材育成等があり,どの職種が参加しても学ぶことができる学会であったと感じました.
学会の中で一番印象に残ったことは,高知健康科学大学の宮口英樹先生の講演でした.宮口先生自身が脳出血を発症された際の経験を基に,脳卒中患者の内観がリハビリテーションに影響するということを講演されました.私自身は回復期リハビリテーション病棟にて勤務をしています.私は仕事をしていくうえで,患者が在宅等で過ごす維持期に入られる際,その人らしい生活を継続していくためにはどうしたらいいかを考えながら介入をするように気をつけています.そのため患者の気持ちに寄り添い,声に耳を傾けることを意識してきました.しかし,実際には患者と同様の体験をしたことがないため,そのときの心情等は想像するより他ないとも,常日頃より感じていました.宮口先生は講演の中で,実際に急性期病院から回復期病院で過ごされた病棟での様子やリハビリテーションについても細かく話されていました.急性期病院の段階からご自身が望む必要な環境調整や目標設定を受けたことでリハビリテーションの効果を感じたことや,職員の声かけの仕方一つでエネルギーを保つための意欲(宮口先生は焚き火の「薪」のようなものと表現)が変わってくること等,まさに目から鱗の内容でした.
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