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Key Questions
Q1:地域共生社会の実現とは?
Q2:重層的支援体制整備事業とは?
Q3:地域共生社会の実現に向けて,これからの作業療法士に期待されていることとは?
はじめに
筆者は,2024年(令和6年)4月より,健康づくりを担う健康増進課,介護保険や高齢者福祉を担う高齢介護課,さらには,地域共生社会の実現に向けて重層的支援体制整備事業を行う地域包括ケア推進室という3つの課に勤務している.中でも地域包括ケア推進室には,2024年4月から勤務することとなった.
最初に申し上げておくが,地域共生社会の実現や,そのための具体的な取り組みである重層的支援体制整備事業は,とても総論的で,総花的で,各事業に分けて考えると全体がみえなくなり,俯瞰して全体を大きくみるという癖をつけなければ理解することが難しいと感じている.あえてまとめるならば,「どんな人でも幸せに健康に暮らせるために,どんな未来がほしいのか」を,国が提唱している概念や,事業をうまく活用して実現していく,そしてわが街のことは,わが街の人たちで考えよう,という壮大なトライアルだと思っている.
地域共生社会とは,“制度・分野ごとの『縦割り』や「支え手」,「受け手」という関係を超えて,地域住民や地域の多様な主体が『我が事』として参画し,人と人,人と資源が世代や分野を超えて『丸ごと』つながることで,住民一人ひとりの暮らしと生きがい,地域をともに創っていく社会”1)と説明されている.
2017年(平成29年)に社会福祉法が改正され,「地域共生社会」の実現に向けた地域づくり・包括的な支援体制の整備として,地域福祉推進の理念を規定し,市町村が包括的な支援体制づくりに努める旨が規定された.
地域共生社会の実現が唱えられているのは,高齢化の中で人口減少が進行している日本では福祉ニーズも多様化・複雑化しており,人口減による担い手の不足や,血縁,地縁,社縁といったつながりが弱まっている現状を踏まえ,人と人,人と社会がつながり支え合う取り組みが生まれやすいような環境を整える新たなアプローチが求められていることがある2).
地域共生社会の実現を目指すための体制整備事業として,「属性を問わない相談支援」,「参加支援」,「地域づくりに向けた支援」を一体的に実施する新たな事業(重層的支援体制整備事業)が,2021年度(令和3年度)からスタートしている.

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