小児脊椎・脊髄疾患の画像診断アプローチ—X線写真，CT，MRIの適応と役割，超音波の利用（新生児・乳児における有用性）

Imaging Diagnostic Approaches for Pediatric Spinal Cord Disorders: Indications and Roles of X-rays, CT, and MRI, and the Usefulness of Ultrasound in Newborns and Infants

はじめに

　小児の脊椎・脊髄疾患は多岐にわたり，それぞれの疾患を適切に評価するためには，適切な画像診断モダリティの選択が重要である．しかし，側弯症を除く多くの疾患においては，これまで推奨されるモダリティや撮影プロトコルの標準化に関する報告は限られていた．

　近年，米国放射線学会（American College of Radiology：ACR）は，医療画像診断における「適切さ」を科学的根拠に基づいて評価・推奨する「適切性基準（Appropriateness Criteria）」を，小児領域を含む多様な臨床シナリオごとに作成・公開している．さらに，2023年には脊椎腫瘍に対するChildren's Oncology Group（COG）およびSociety of Pediatric Radiology（SPR）の合同ワーキンググループによる推奨事項が発表され，2024年には頸椎外傷に関してPediatric Emergency Care Applied Research Network（PECARN）による臨床意思決定ルールが公表された．

　これらは，小児の脊椎・脊髄疾患に対して画像検査を行う際に把握しておくべき重要な情報である．

　本稿では，X線写真，CT，MRIといった各モダリティの特徴を説明し，各疾患に対する画像診断プロトコルにおける推奨事項について概説する．また，新生児期における脊椎超音波検査についても併せて解説する．