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この原稿を書いている本日は7月最後の日曜日。いよいよ来週末は耳鼻咽喉科専門医試験です。私が受験したのは1991年。まだ専門医制度が始まったばかりで,基本的な問題ばかりでした。あれから30余年,専門医に求められる知識量が飛躍的に増加し,最近の問題は本当に難しいですね。長年本誌の編集にかかわり,常に最新の知識に触れている小生でも,何も準備せず丸腰で受けて合格できる自信はありません。でも,普段の診療で得られた知識だけで仕事をしているのは「門前の小僧」。一生に一度,出会うかどうかの稀な疾患・病態について知識を持っているのが「専門医」です。専門医試験は「本物の耳鼻咽喉科医」になるための大切な関門です。本号が出る頃には今年度の専門医試験は終わっていますが(受験生の皆さん,お疲れさまでした),これから専門医を目指す皆さんは,ぜひ本誌各号の特集に目を通して,万全の体制で試験に臨んでください。
さて,今月号の特集は「なかなか治らない厄介な痛みと痺れ」です。痛みや痺れは,日常臨床で頻繁に遭遇する症状であり,患者さんが受診するきっかけとなる代表的な主訴でもあります。しかし,詳細に診察し,画像検査や血液検査を行っても,毎回,専門医試験のようにクリアカットに原因を特定できるとは限らず,しばしば対応に難渋します。本号では,こうした耳鼻咽喉科外来における「なかなか治らない厄介な痛みと痺れ」に対し,器質的疾患を見逃さないようにするにはどうすべきか? 明確な器質的疾患が確認できない場合,患者さんとの信頼関係を築くにはどうすればよいのか? 痛みのエキスパートの皆様に解説いただいています。また本号では,肺腺癌の耳下腺転移例,降下性壊死性縦隔炎,頸部生検後のtoxic shock syndrome,先天性第V因子欠乏症など,稀ではありますが,専門医として心得ておきたい貴重な症例報告が掲載されています。これから専門医を目指す方はもちろんのこと,すでに専門医の資格をお持ちの先生方も生涯学習の一環としてぜひ,ご一読ください。

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